
頭の中のイメージと自分の視覚的な感覚との折り合いをつけ続けていくと、当初イメージした完成予想図から遠く離れた場所にたどり着くことがある。
私の手によって作品は姿を変えるが、それは一方的な行為ではなく、制作を通して私自身が変化しているように感じる。まるで私が作品にコントロールされているようだ。
仏教をベースに制作し始めてから私の作品は急激に変化している。「作品全体に一貫性を持たせるために意識的にコントロールすること」は極めて不自然な気がして、従来の「先ずコンセプトありき」の価値観に合わせなくても良いのではないかと考えるようになった。
般若心経には「時間も空間も物質も、人間も動物も植物も、すべては一つのエネルギーが形を変えて現れているだけ。独立した存在はなく、全てのものが互いに関係性を持っている。」と書かれている。
般若心経の教えによれば、もう既に私は全てのものと繋がっているのだ。ならば安心して流されるだけ流されようと思う。
黄 クリコ
1962年 茨城県水戸市生まれ 名古屋市在住
1990年 東京藝術大学大学院 美術研究科修了
在学中からフリーランス・イラストレーターとして広告や雑誌を中心に活動
結婚を機に名古屋学芸大学デザイン講師に就く
2018年 大学講師を離職し、アメリカ西部、トルコ西部、中国(北京、天津、西安、チベット、上海、内モンゴル)を放浪
2022年 SNSに作品投稿開始